あの日失った想い
私はホテルの長い廊下を歩く。ハルの部屋は、私の部屋の丁度向こう側だ。


手元のスマホが振動する。その振動が私の心臓に伝わり、鼓動がはやくなる。


緊張してる…頑張れ由佳里!!


メールは郁麻によるものだった。

『OK、頼む』

素っ気なく、ぶっきらぼうに打たれたメールだが、その文字からは郁麻の優しさが溢れている。


心拍数は元に戻る。心が落ち着いた。


彼のメールや言葉は不思議、魔法みたい。

私の心にいつも安心と優しさをくれる。


郁麻、仁美待っててーーーー!

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