あの日失った想い
「私、七瀬くんのこと勘違いしてたかも。」
「勘違い?」
突然の私のことに七瀬くんは首を傾げた。
「うん。怖いって噂あったけど、本当はそんなこと無かったよ!
とても友達想いで熱い男の子なんだってね!」
「熱いとか、やめろよな」
私たちは笑い合った。本当に、今日は変なことばっかりだ。
「なぁ、俺らダチにならねぇ?もちろん由佳里って呼ぶ」
「うん!喜んで。よろしくねハルくん!」
私とハルくんは握手して、また笑った。
いつかこの大事な友達のハルくんが私を何度も救ってくれるなんて、このときは知る由もなかった。
今朝は色んなことがあったけど、ハルくんも、もちろん郁麻くんも嫌いになるはずない。
私の新しい友達が出来たことを、祝福するかのように春の優しい風が私たちを包み込んだ。