あの日失った想い
「由佳里………」

彼女の顔はだいぶくたびれていた。寝てないのだろうか、目の下にくまができている。


「どうして来たの?」

「話しに来た。あの日のこと」

由佳里は俺の方を見てもくれない。やはり、怒っているのだろう。


「私…あなたに話すことはないよ」


「でも、俺はお前に話さなきゃいけない」


由佳里は視線を俺にやった。

話を訊く気になったのか?



でも、俺を待ち受けていた言葉はそうではなかった。


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