あの日失った想い
「帰って……」

「少しだけ、時間をくれないか?」

「なんで放っておいてくれないの?私はもう、あなたに関わりたくないのよ…

せっかく来てもらったけど、今日はもう帰って。

…そして、2度と私に話しかけないで……」


由佳里の目からは涙が零れていた。


彼女の苦痛な声、初めて訊いた。

これ以上ここにいたら無意味だと感じ、由佳里の家を後にした。




由佳里の泣き顔、初めて見たわけじゃない。


でも、あんな悲しい顔は初めてだった。


…俺が泣かせた。


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