あの日失った想い
『郁麻』

「っ、」


由佳里のかわいらしい、明るい声が聴こえた気がした。


『私のこと思い出さなかったら許さないよー』


由佳里のいたずらっぽく笑う笑顔が脳裏に蘇る。



笑った顔だけじゃない。困った顔も怒った顔も泣き顔も……全て蘇ってくる。


あの、甘ったるい匂いが鼻に残っている。


『2度と話しかけないで』


でも……俺が泣かした。初めて拒否られた。

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