あの日失った想い
「……ちょっとだけ頭がボーッとしてしまって、大したことじゃない。すぐ退院する」

「そうなの?お大事にねー」


私が言うと、郁麻は少しだけ引きつった笑を零していた。


どうしたんだろ?元気ないのかなー

んー、私に出来ること……あ!


「ねぇ、郁麻!もしさ、退院したらさ出来ればでいいよ。2人でどっか行こうよ!2人が嫌ならさ、仁美とハルも呼べばいいし」


病院の机に手をばんっと叩いて、大声で郁麻に言ってしまった。


しまった!ここ病院だったー


私が口元に手を当ててあわてていると、彼は苦笑していた。


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