あの日失った想い
彼女に訊かれた“なぜ入院しているのか”。


俺は大したことじゃないと伝えると、彼女は納得しないように頷いていた。


そして、うーんと唸っていた。


何秒かして彼女はパアッと笑った。


「ねぇ、郁麻!もしさ、退院したらさ出来ればでいいよ。2人でどっか行こうよ!2人が嫌ならさ、仁美とハルも呼べばいいし」


由佳里が机に思いっきり叩いて叫んだ。


ここが病院ってことを忘れていたのだろうか。口元に手を当てていた。


その仕草もかわいくて苦笑してしまった。

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