あの日失った想い
私と花恋さんは、病院のすぐ隣にあるカフェに来ていた。




何も言わない彼女を不思議に思った。





どうしたんだろう………私に、挑戦状でも出してくるのかな?




「……あたしね、郁ちゃんに振られたのよ」




………………え?どういうこと?



花恋さんは私をじっと見た。



「笑っちゃうでしょ。


自分は郁ちゃんの1番なんだった思ってた。郁ちゃんには私しかいないって思ってた。


でも、違った。ただの思い込みだった」






私は彼女の話を何も言えずに黙っていた。






「なによ……なんで何も言わないの!?


笑えよ。笑いなさいよ!


あたしのことざまぁとか思ったんでしょ!?」




花恋の目には涙がうっすらと浮かんでいた。




あぁ、やっぱりそうだ。この子は、本当に郁麻が好きだったんだ。

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