あの日失った想い
「郁ちゃんは自分の記憶を元に戻したいの?」



郁麻のお母さんは郁麻をじっと見つめた。




郁は何ていうのだろう。思い出す?思い出したくない?




私はどきどきして2人の会話を見守っていた。













「思い出したい」











「「えっ」」





びっくりして私と郁麻のお母さんの声が重なった。




思わず2人して顔を見合わせてしまった。








郁麻は自分の過去を思い出していいのだろうか。


お父さんを思い出すということは、辛いことも全部受け入れて乗り越えないといけないということである。





きっと辛いはずなのに、なぜ?





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