あの日失った想い
「由佳里。顔上げてみ?」



「んー?………………!」



そっと顔を上げると、彼の顔が近づいてきた。



そして、私の唇に触れた。いわゆる、キスってやつだ。



「いっ、郁麻……!!」



「ははっ、顔真っ赤だな。本当にかわいい」



「なっ………」




そのとき意地悪そうに笑う彼に、きゅんとしたのは事実だ。




さらっと嬉しいこと言っちゃって………本当に恥ずかしいんだよ。




でも、こうして彼に触れていることが嬉しすぎて。




私はキスをもう1度頼むように彼を見上げた。彼はそれに答えるかのように、キスをしてくれた。


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