あの日失った想い
…いや、辛くないわけ無いのだ。




彼はいつも感情は表に出さないのである。




だから、苦しくても抑え込むタイプなのであろう。




悔しい。なぜか、無性に悔しくなってきた。





彼にもう1度訊きたいことがある。でも、訊いていいのだろうか。






私は気づけば、考えるよりも先に行動していた。




「青木 郁麻くん。私のこと、本当に憶えていない?」





少し強い風が吹き、木々がざわついた。




私たち以外いない公園に私の声だけが響いた。





彼の顔をずっと見つめた。できれば「憶えている」とい反応が返ってきてほしかった。




でも、私の思いは神様には届かない。


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