あの日失った想い
それからは想像がつくであろう。





私はボールを守るのに必死だ。




郁麻に取られないように、体をねじるなど懸命な努力をした。





けど、それも無駄な努力だった。




彼は私の手からスッとボールを取り、そのままドリブルをしてダンクシュートを決めた。




何、今の?かっこよすぎでしょ!?


彼のフォームも、ボールのさばき方も。




生まれて初めてこの目でダンクシュートを見た。
それがかっこよく見えるのは、郁麻がしたからってのもあるだろう。




あれ?私変だな…。さっきから胸のドキドキが収まらないの。




私は負けた。それもあっさりと。その上、圧倒された。




郁麻の馬鹿!全然、手をぬいてないでしょ。

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