あの日失った想い
「ねぇ、郁ちゃんあたしのこと忘れてない?」



「はっ、舐めてんのか。忘れるわけねぇだろ」


「ふふふ、ありがとう」






ズキン…





胸が苦しい。どうしたんだろう。









郁麻の笑った顔、初めて見たんだ。




誰もが魅了する、すごく色気のある妖艶の笑み。




かっこよかった。






だけど、その笑顔は私に向けられたものではない。




どうして。花恋さんには笑うの?



幼なじみと友達ってそんなに違うの?





ていうか、それ以前に何で私、こんなに胸がモヤモヤしてるの?




これ以上自分が傷つくのが嫌で、2人の様子を見ることは出来なかった。

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