あの日失った想い
「郁麻、体調大丈夫?」


由佳里が遠慮気味に俺の部屋に入ってきた。

そういえば、女を部屋に入れたの花恋ぐらいだ。


「あぁ。わざわざありがとな」

「ううん。熱はまだあるの?」

「ん。少しな」


由佳里は少し心配気に瞳を揺らし「そう…」と囁いた。


そして、俺に近づいてきた。


「嘘つけ。まだ熱あるじゃない」


彼女は俺の額と自分の額に手を当てて熱を確かめていた。


「っ、」



自分の顔が今どんな顔をしてるか、分からないが、絶対顔が赤いと思う。

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