あの日失った想い
「郁麻のお母さん、買い物行ってくるって言ってたよ。私、お粥でも作ろっか?」


由佳里がニコッと笑ってきた。


まじで、やばい。


由佳里の甘ったるい匂いが鼻につく。


「や、大丈夫。客に作らせるわけにはいかねぇよ」

「え?私なら大丈夫よ!今日ぐらい私を頼ってよ」



由佳里が冗談っぽくクスクスと手を口に当てて笑う。







本当に、この女は…!


俺は彼女に逆らわずに、小さく頷いた。

< 70 / 282 >

この作品をシェア

pagetop