あの日失った想い
「郁麻、食べれる?」

由佳里は俺の前に鍋を置いてくれた。

本当にこの女は優しい。俺みたいなやつをほおっておかない。


このままだと、彼女の甘さに縋りたくなる。




俺はお粥を食べ終わった。結構美味かった。

彼女は俺が食べ終わるのをずっと待ってくれていた。


俺は彼女の顔を見るのがあまりにも恥ずかしかったので、彼女に背を向けた。


「ねぇ、郁麻……寝ちゃった?じゃあさ、子守唄がわりに私の話訊いてよ」


本当は寝てないが、このまま起きてると言うタイミングが掴めなかったので、寝ているということにしておいた。

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