あの日失った想い
「郁麻から見た私はどう見えるのかな?
私のこと真面目だとか努力家とかに見える?」


驚いた。俺は由佳里の今の印象は真面目だと思っていた。

由佳里が話を続けた。


「私ね、何も無いんだ。

仁美みたいに楽器の才能もないし、郁麻やハルみたいに上手なスポーツとかもない。

私ね、何の取り柄もないの。

高1から仁美を見てきているけど、サックスを努力していて…将来のエース候補なんて、すごいよね。


私ね、何も無い自分が嫌なんだ。


だからね、私にしか出来ない、私の出来ることを探してるの。

私ね、郁麻たちと一緒なら、変われる気がするの。

うんん、変わりたいんだ。自分の力で」

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