てるてる坊主にコロサレタ
いつだったか、双子が教室にいないときにクラスメイトがほのかを心配して声をかけたのを見たことがある。
けれどほのかは告げ口を恐れているみたいで
『麻梨と由梨は大切な友達だよ』
と笑顔を作って言い切った。
濡れた体操着を畳んでいるほのかの笑顔は、そのときと全く変わっていない。
『大切な友達だよ』
その言葉が胸を痛いほどに締め付けてくる。
痛みの理由を確認するように、窓の外に目を向けた。
雨の降る校庭のずっとずっと向こう。
そこには放置されたままの大型の運搬車やショベルカーがぐったりと首をもたげている。
(実宇子ちゃん、……会いたいよ)
いなくなってしまった親友の笑顔が浮かんできた。じんわりと視界がかすんでいくのは、きっと雨のせいだけではなさそう。