てるてる坊主にコロサレタ
双子とほのかが話しているのは、この地域に伝わっている『首なし坊主』の怪談話。
ずっと昔に、大雨を止めるために生け贄として首を切り落とされたお坊さんが、雨の夜に自分の頭を探して歩き回るという。
首なし坊主の姿を見た人は殺されて、そしてその首を持っていかれるらしい。
『雨の夜は危険だから出歩くな』
そういう意味を込めて作られた昔話だとばかり思っていたけれど、わたしも雨の降っている夜に、ザッ、ザッ、ザッ、と近づいてくる足音を聞いたことがある。
本当だったんだという確信と、あの時の恐怖は今でも忘れられないし、思い出す度に冷や汗が出てくる。
わたしは震える手でカバンの中の教科書やノート、そしてスケッチブックを机になおしながら、その話に耳を澄ませた。