てるてる坊主にコロサレタ

「なーんだ、先生か。びっくりしたー」
「ノックぐらいしてくださいよー」

「教師が自分の教室に入るのにそんな必要はありません。それとも何ですか? あなた方は毎回ノックされているのですか? 」


驚いた生徒たちのクレームを嫌みを込めてはね除けた山崎先生の後ろには、見たことのない女子生徒が続いていた。

日本人形のように色白で、胸あたりまで伸ばした真っ直ぐな黒い髪と、切れ長の大きな瞳。

電気のついていない薄暗い教室の中だけれど、誰が見ても綺麗だと認めざるを得ない顔立ちをしている。


「いいから早く席につきなさいっ」


自分の後ろに集まる視線に気づいた先生は、生徒たちをせかすように教壇へと上がった。
< 16 / 187 >

この作品をシェア

pagetop