てるてる坊主にコロサレタ
「なーんだ、先生か。びっくりしたー」
「ノックぐらいしてくださいよー」
「教師が自分の教室に入るのにそんな必要はありません。それとも何ですか? あなた方は毎回ノックされているのですか? 」
驚いた生徒たちのクレームを嫌みを込めてはね除けた山崎先生の後ろには、見たことのない女子生徒が続いていた。
日本人形のように色白で、胸あたりまで伸ばした真っ直ぐな黒い髪と、切れ長の大きな瞳。
電気のついていない薄暗い教室の中だけれど、誰が見ても綺麗だと認めざるを得ない顔立ちをしている。
「いいから早く席につきなさいっ」
自分の後ろに集まる視線に気づいた先生は、生徒たちをせかすように教壇へと上がった。