てるてる坊主にコロサレタ
「それに、たった今ほのかを殺したのは奈穂実だよね? 」

「……いやぁっ」


そう叫んで耳を塞いでしまった奈穂実。

やっぱりそうだよね。
奈穂実の涙はほのかが死んだことよりも、自分が殺してしまったことへの恐怖だよね。

さっきまで怯えていた実宇子が「大丈夫、大丈夫」と言いながら、奈穂実を支えるように抱き寄せた。


何が大丈夫なのかも分からないけれど。


わたしはそんな二人を見ながら自分の席へとうつった。
そして机の中からスケッチブックと色鉛筆を取り出した。


「教えてあげる。これがね、生きていたわたしが最期に見た景色なの」


そう言ってスケッチブックの最後の絵を、奈穂実と実宇子に見えるように広げた。
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