てるてる坊主にコロサレタ
「では、あの席に座りなさい」
先生に指定された席に向かながら、奈穂実はクラスメイトたちにニコッと笑いかける。けれども、もう誰も笑顔を返す人なんていない。それどころか双子の反感を買わないようにと、あからさまに顔を背けていく。
その様子をじっと見ていたわたしの視線に気がついたのか、2つ隣の席に座った奈穂実がわたしにまた笑顔を見せてきた。
……やっぱり、そっくり
けれども、わたしはまた顔を背けてしまった。
でもこれは双子のためなんかじゃない。
わたしに笑顔を見せる人なんていないから、どうしていいか分からなかっただけ。