てるてる坊主にコロサレタ
でも今はもう慣れたもの。

わたしは机に入れていたスケッチブックを取り出すと、パラパラとめくって最後のページにある制作中の絵を開いた。


雨に濡れた露草の花の合間から、満月が見える風景。


あとは色を塗ればいいだけなのだけれど、なかなか踏み出せずにいた。

これはわたしの忘れられない景色だし、これを描いている間は、大好きだった友達をずっと思い続けていられる。

それに誰にも話しかけられないということは、誰にも邪魔されずに趣味の絵を描けるんだし。

大きなため息をついた奈穂美を横目で見ると、重そうに傾いた頭を右手で頬杖をついて支えていた。これからこの休憩時間をどう過ごしていくのか考えているのだと思う。

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