てるてる坊主にコロサレタ
「ここって学食か購買があったりする? 」
奈穂実はロッカーボックスに置いているカバンから財布を取りだしながら、双子にたずねた。
「そんなものあるわけないでしょ」
「そんなものあるわけないでしょ」
学食はないけれど、サンドウィッチや菓子パン、文具を売っている購買なら渡り廊下の側にある。
麻梨と由梨はわざと教えずに、奈穂実が困ることを期待しているのが見え見えだった。
「購買もないなんて、すっごいど田舎じゃん。コンビニ探すしかないかー」
奈穂実は憂鬱そうに窓の外を見て雨の降り具合を確認すると、「よしっ」を小さく気合いを入れて教室を出て行った。
学校を抜け出すという大胆な行動に、麻梨と由梨だけでなくクラス中がポカンと呆気に取られてしまった。