てるてる坊主にコロサレタ
「いったい何の騒ぎなのですかっ? 」
緊張感が広がる教室に、担任の山崎先生が大声をあげながら入ってきた。その後ろには、ほのかがピッタリとくっついている。
「先生、この人が言いがかりをつけてくるんです」
「急に大きな声を出すから、わたしたち怖くって」
ガラッと態度をかえ、怯えるように両手を胸の前で握りしめる麻梨と由梨に先生はゆっくりとうなずくと、目を細めて奈穂美を見た。
そして大袈裟にカツ、カツ、カツと靴を鳴らしながら奈穂美に近づくと、メガネをずらしながら睨み上げた。
すかさず麻梨と由梨は、盾にするように先生の後ろについた。
「松永さん、これはどういうことなのですか? 」
「この人達が私の机を廊下に出したので、戻すように言って、」
「この子達がそんなことをするわけがありません 」
質問に答える奈穂実の言葉を最後まで言わせずに、先生は麻梨と由梨を見た。
二人は同時にうんうんとうなずいてる。