てるてる坊主にコロサレタ
“情けない”とばかりに大袈裟なため息をついた山崎先生は、クラス全員にたずねた。
「松永さんの机が出ている理由を知っている人はおりますか? 」
けれど、誰もこたえる人なんているわけがない。
答えることができないと言った方が正しいのだけれど。
先生はそれが分かっていてたずねている。
「誰も知らないようですね。ではこの話はここまでにしましょう。松永さん、早く机を戻しなさい」
問題が無事に解決し、満足げにうなずいた先生は、奈穂実を見ながら顎で廊下を指した。
「戻すって、……私がですか? 」
「他に誰がいるのです? それとも立ったまま授業を受けるつもりですか? そんなことは許されませんよ 」
「そういうことじゃなくて、」
奈穂実は納得いかないようで先生に食い下がった。