てるてる坊主にコロサレタ
「面倒くさいなぁ。お互い濡れてるんだからどうでもよくない? 」
だめ押しのように、わたしに傘を傾けた奈穂実。
もうこれ以上は譲り合わなくてもいいかな。
「そうだね。なんだか久しぶりに笑った気がする」
「私も笑っていなかったかも。でも、友達ができてよかったー」
うれしそうに笑っている奈穂実はわたしを見ている。
もしかしてその『友達』ってわたしのことなの?
言葉にできず、自分に指をさすわたしに奈穂実はうん、と大きくうなずいてくれた。
友達……。
こんなわたしなんかをそう思ってくれるなんて。
うれしいけれど、それ以上に心苦しくなってくる。