てるてる坊主にコロサレタ

「思ったより重くて、遅くなっちゃった」


申し訳なささをごまかすように笑いながら、麻梨と由梨にカバンを渡すほのかの髪は濡れていた。
ブラウスも濡れていて、肌にベッタリと張りついている。
両手が塞がって傘がさせなかったのだろう。


「やだ、びしょ濡れじゃん」
「やだ、びしょ濡れじゃん」


麻梨と由梨はカバンを受け取りながらほのかを見た。


「大丈夫、大丈夫。着替えてくるから」


雨に濡れた原因は双子にあるのに、その双子に気を使って心配をかけさせまいとするほのかは、肩にかけていたトートバックから体操着を取りだした。

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