INFATUATOシンドローム

そして、棚の中から救急箱を取り出して渡してくれた。


璃夢「まずは……消毒ですね。ちょっと痛いかもしれませんが我慢してくださいね」


そう言って、救急箱を開けて取り出したガーゼに消毒液に染み込ませて、切り傷ができてしまっている頬や腕を消毒した。


翼「っ……」


璃夢「っ!痛いですよねっ!ごめんなさい!もうちょっとだけ我慢してください!」


消毒液が染みたのだろう、痛そうに顔を歪める八重樫くんを見て私まで痛い気持ちになってくる。

よしっ、これで傷口は大丈夫……じゃない!一番大怪我してそうなところ!


璃夢「八重樫くん、起き上がれますか?」


私の質問に小さく頷いてくれた八重樫くんは起き上がろうとするも頭がクラクラしたのかすぐに横になってしまった。


璃夢「八重樫くん、体を横にしますね…。あと、少しだけ頭浮かせますね?」


起き上がるのは相当しんどいだろうと思った私はそう一言いって八重樫くんの顔がソファの背の方を向くように横向きにしたあと、頭を浮かしたことでできた隙間に入り込み、膝の上に頭を乗せた。


大和「あー!ずりぃ!!膝枕!」


翼「っ…」


璃夢「大和さん声大きいです!」


一瞬だけ大和さんの声を聞いて八重樫くんが眉をしかめたように見えた。

大きな音は頭に響いたりするから、もしかしたら頭が痛いのかもしれない。


大和「っ、ごめんなさい…」


璃夢「大丈夫ですか?すぐに傷見ますね」


少しだけ八重樫くんの顔を私のお腹の方へと引き寄せ抱えるようにして傷を見た。

少しコブが出来てて、切り傷から血が出てるけど大分血は止まったみたいだね…。

コブができるってことは相当強い力で殴られたんだな……頭なんて打ちどころが悪かったら命の危険もあるのに……。

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