INFATUATOシンドローム


────
───────

パタンッ

扉の閉まる音を聞いて俺は布団から頭を出した。


雪「……コホッコホッ…」


やっと帰ったか、アイツらは。もっと早く帰ればよかったのに……。

しかしそれと同時に寂しい気がした。

それもこれも、懐かしい【あの日の夢】を見たせいだと思いたい。

俺が酷いことを言った所為でもう会うことのなくなった【あの子】の夢。

初めて出来た友達の夢…

思い出していると、どんどん寂しい気持ちが募っていく。

独りは……嫌だ…………。










時雨「雪?」


雪「……!?時雨!?おま、いつからそこに」


名前を呼ばれる声がして扉の方に視線を向けると時雨と猫がいた


時雨「気づかなかった?ちゃんとノックしたんだけどな〜?…ボーッとしてたけど、もしかして熱上がったんじゃない?」


そう言って時雨が俺の額に手を当てた。


時雨「これ、結構高いよね。薬飲んで寝よ?何か食べた?」


熱が高いと分かった瞬間、体が鉛のように重くなった。

きっと熱が高いから寂しいなんて、一人は嫌なんて考えてしまうんだ…。


雪「………食べてない……」


時雨「う〜ん。漣が帰ってきたらお粥でも作ってもらうか…って、リンゴあるじゃん!」


時雨が手にしていたのは魁が切ってくれたリンゴだった。
< 274 / 540 >

この作品をシェア

pagetop