INFATUATOシンドローム

その瞬間をついて私は走り出した。


翼「っ、璃夢!!」


人が意外と集まっていたため、かきわけながら玄関へと向かって走る。

翼の名前を呼ぶ声は聞こえたが、追いかけては来ないようだった。


璃夢「ははっ…」


この期に及んで追いかけてきてくれるかもなんて考えてバカみたい…。

そのまま玄関に向かったが、靴を履き替えることもせず私は上履きのまま外に飛び出す。雨だというのに…。










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璃夢「あれ…なんで…」


ボーッと歩き続けて気づけば私は繁華街にいた。

家に………いや、きっとまだ時間的にお昼頃だよね。お母さん今日はお休みだから、こんな時間に帰ったら怪しまれちゃう…しかもびしょ濡れだし……。


璃夢「なんか…全部つかれたな…」


もっと早く分かってれば耐える必要なんてなかったのに…我慢する必要なかったのに…取り繕う必要なかったのに……。

本当に私って弱いままだ…。あれから何年も経ったのに何も変わってない……

はぁ…もう消えてしまいたい…辛いよ……


「っ………めてっ…さいっ……」


そう考えていた時、雨の音でかき消されそうなほど小さな声が聞こえた。

声のした方に顔を向けてみると、そこは路地裏で複数の人に殴られ蹴られている男の子がいるのが見えた。
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