INFATUATOシンドローム
「ぐっ、やめっ、やめっくれ」
璃夢「………。」
私が路地裏に入ってからどれだけ経ったのだろうか。
よく分からないが、意識があるのは私が胸ぐらをつかんでいるこいつだけということはわかった。
璃夢「やめてって、面白いこと言うよね。自分らだってやめなかったくせに」
「っ、わ、わるかっ、たっ、もうやめっ」
璃夢「それしか言わないじゃん。そんな軽い謝罪、受け入れると思う?」
悪かったって何に対して言ってるの?私に対して言ってるの?全部違うじゃん。今を逃れるために言ってるだけなんでしょ?
分かるよ、分かる。そういう人たちいっぱい見たもん。ずるいよね、ひどいよね……。
なんでいきてるんだろう?
ふと視線を感じ、顔を向けると…
璃夢「………。」
「っ!」
さっきまで殴られていた男の子が私を見ていた、【恐怖の目】で私を見ていた……
あぁ、私、助けたのに、またそういう目で見られるんだ…?
それにイラついた私はヤンキーを殴った
無言で…何度も…何度も…何度も……
パシッ
すると誰かが私の手を掴んで殴るのを止めた
それにもイラついた私は手を掴んだ人を殴ろうとした。
しかし、その手も止められた
璃夢「っ」
顔を上げソイツの顔を見てみると…
璃夢「あ……れーた…」
羚焚「何してる…璃夢」
私の手を掴んでいたのは朱雀の総長、羚焚だった。
羚焚の声で現実に引き戻された気がした。『何をしてる』…私、何してたんだろう?
ふと周りを見てみると
璃夢「あ……」
血だるまが複数転がっていた
羚焚「これは、お前がやったのか?」
わたしが、やった?これを?
羚焚「………璃夢」
璃夢「…………………わかんない」
羚焚「分からない?」
璃夢「……………もう…分からないよ…」