三月の雪は、きみの嘘
この学校に転校してきて、一週間。

あいかわらず友達はできないし、なんだか自分の存在を無視されているような感覚すらある。

たまに話しかけてくる子はいても、どこかよそよそしいし、当たり障りのないことばかり。

クラス替えがなかったので、新しいメンバーが私だけだったことも災いしているのかもしれない。

授業の合間のたった数分の休憩時間は、いつもやるせない気分になる。

早く過ぎてほしいのに、教室の壁にかかった時計の秒針が普段よりゆっくり進んでいるようにさえ感じる。

とはいえ、別に私は大人しい性格なわけではない。

話をするのは好きだし、友達だって、これまでの転校先では、時間がかかるけれど作ることができていた。

だから自分から話をすればいいのだけれど、なかなかできない理由はわかっている。


「――切さん」


急にだれかの声が近くで聞こえた気がしたけれど、自分が話しかけられたとは思わず、そのままぼんやりと校庭ではしゃぐ生徒たちを見ていると……。


「あの、熊切さん。……文香さん?」


数秒の間を置いてからハッとした。

そうだ、今はその名字になったんだ。

見ると、私の右側に、恐る恐るという感じでクラスメイトの女の子が立っていた。
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