マドンナは社長秘書室勤務


田神社長が走らせる車は横浜方面と向かっている。

時々バックミラー越しで田神社長と目があうのが嬉しくて、またこっちを見てくれないかな?と私は流れる景色よりもバックミラーばかり見ていた。

臆病で怖がりな、そんな私はまだ田神社長と特別な名前がつく関係になりたいと思うほど前には進めてはいない。

けれどドキドキしてる気持ちは何より身体は正直。

だからこそいつかはそんな遠くはない未来は特別な名前がつく関係になれればいいなとは思っている。

その為にもそうなる為にも一歩勇気を出して進んでみよう。

距離を縮める為に。


「あの」

「どうした?」

「今日はプライベートなので田神社長ではなく名前で呼んでもいいですか?」


貴方の事を慶悟さんと思いきって呼んでみたい。


「俺も…、榛原にそう言い出すタイミングを探していた。まさか言われるとは思わなかったが」

「それなら」

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