マドンナは社長秘書室勤務
□02
目が覚めて枕元の時計に視線を向けた。
まだ6時前で起きるには少し早いけれど二度寝をするには遅すぎる時間に私はモソモソと起き上がった。
和室のこの部屋はベッドではなく敷き布団で、起き上がったらすぐにするのは敷き布団を畳む事。
それからカーテンを開ける。
外は霧のかかったようにぼんやりしており、眺めていても気持ちの良いものではない。
それも景色が綺麗なら未だしも窓の向こうは一軒家の庭。
グーっと背伸びをしてから洗面所に向かう。
漸く見つけたこの物件。
私はフローリングを好きになれず希望として全室和室。
それでいて木造ではなくRC構造が良く、女性ばかりが住んでいて尚且つ防犯対策がなっている会社まで徒歩か自転車で行ける立地。
そんな条件に合うここを探すのは簡単ではなく、入社が決まってから探したにも関わらず見付けられたのは入社してから半年たった頃だった。