マドンナは社長秘書室勤務
“そんな風に見ていなかったら社長は貴女を抱き締めません”
そんな田神室長の言葉が頭から離れない。
確かに田神社長の元にこうして配属されてから私は田神社長の性格をある程度認識してきたつもりだ。
誰彼構わず手を引っ張るような人ではない。
田神社長はルックスと地位からとてもモテるけれど女性関係について話を聞いた事もなく、むしろパーティーなどでベタベタと女性から触られようものならそれなりの対応をした。
腕を払う、やめてもらおうかと拒否する、あまりにもしつこい場合はその女性の会社名を聞き出して…。
それはパーティーに出席してる人は知っているから無闇に田神社長に触れたりしてこないけれど。
だったら…?
私は田神社長にとって特別な存在なのだろうか。
そう思い頭を横にぶるぶると振る。
自惚れるのもいい加減にしろーー、そうまた怒られる羽目になりそうだ、と。