マドンナは社長秘書室勤務

”榛原さんもご存知のように外出する時は必ず社長には何人者警備がつきます。流石に会話中も側にいる事はないですが社長や榛原さんに何か起こる前に対処します“


そんな田神社長と田神室長の言葉に押され私はパーティー出席者の国籍と語学によって、時々パーティーに同行する事になったのだ。


ーーコンコンッー


控え目に扉からノック音が聞こえた。

返事をしてすぐに扉が開き現れたのは田神社長で、反射的に私はしゃきんと立ち上がる。

そんな私に対して田神社長は嫌そうに顔を歪めた。


「畏まらなくていい」


田神社長は部屋の扉から前へと進もうとはしない。

扉も閉めようとはしない。

ああ、多分。

いや、確実に。


「お優しいですね。田神社長」

「何？」

「気をつかわせてしまってすみません」


今日幾度となく言ったすみません。

けれど今が一番心が温かいすみませんだと思う。