マドンナは社長秘書室勤務
最初の頃は毎日のように誘ってくれたりするけれどいつも手作り弁当を持ってきてる事や、人間が苦手な私を知りそれはなくなった。
黙々と頬張る阿室さんと私。
よく出来たと思うコーンコロッケに差し掛かった時。
「ねえ、日和ちゃん。夜ご飯一緒に食べない?」
阿室さんがそう誘ってきた。
「夜ご飯、ですか」
「うん。日和ちゃんと話したいなーって」
良いですよと言ったのは数ヵ月に一度のペースで阿室さんと二人っきりで夜ご飯を共にする事があるからと、話上手の阿室さんとのご飯は楽しいから。
それに、
「うーん!やっぱり畳の香りは落ち着くわね。次引っ越す時は一部屋は和室にしようかしら」
阿室さんは外で食べる事を強要してこない。
だからいつも決まって会社から近い私の家で食べる。
ここに引っ越してきてから家族以外で初めて招いたのが阿室さんだった。