マドンナは社長秘書室勤務
「私…、私は怖いんです。田神社長に好意を抱いてるって言われて」
阿室さんの話を聞いて私は話していた。
今日の出来事を。
言ってしまってすみませんと田神社長と田神室長に心で謝りながら。
「それはそれは社長もかなり必死ね」
「必死ですか?」
「それを必死と言わなかったら何を必死と呼ぶの?ちょっと可愛らしい一面に吹き出しそうになっちゃったわよ。ねえ、日和ちゃん。例えばあまり関わりを持たない課の人に抱き寄せられてたまたまその場に警備の人がいたとしよう。そしたら警備の人に引き渡す?」
想像しただけでも吐き気がする。
「分からないです。泣いてしまって警備の方を困らせてしまうかもしれないです。あ、でも引き渡した方が」
「じゃあ社長はその人より日和ちゃんは心を許してるって事ね。だって今日日和ちゃんは訴えようかななんて思いすらなかったんでしょう?」