マドンナは社長秘書室勤務


「特別ですか…?」

「もしもそうなら…。社長はとても喜ぶわね」

「でも私逃げてしまいましたよ?」


田神社長が怖くて堪らなくて。


「ううん、いいのよ。それは学習能力がない必死な社長が悪いから。本当に社長は恋愛経験がないんだと思うわ。あ、社長に勝てる所見つけちゃったわ」

「恋愛経験豊富だとばかり」

「人数はあっても濃さはないんじゃないかしら?誰かを思い恋い焦がれ寝れなくなるような恋は。それもまた田神家に生まれた宿命よね。どこかで相手は裏切らないか疑うがあまり大きな一線は越えられなく本気で人を愛さない。だから今日一度失敗したのに二度も失敗してしまった。恋愛経験豊富ならそんな失敗しないわ。そう思うと社長も可愛く感じてこないかしら?」

「そんな考え方が出来るなんて阿室さん流石です」


どうぞどうぞと空になったおちょこに日本酒を注いだ。





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