マドンナは社長秘書室勤務
「目の前で倒れられ、目覚めたと聞いて見に行けば逃げられるのは御免だ。その上それを忘れたように監視役をしてる榛原には驚かされてばかりだ」
「監視役はしたくてしてるわけではないです。田神室長に頼まれたから。あ、田神社長。手止まってますよ。監視役として注意します」
それから暫くして定時の音が鳴る。
社長室にもそれが流れるのは知らなかった。
田神社長には定時なんてものは存在しないと思っていたから。
そもそも田神社長が毎日きっちり同じ時間に帰宅するなんて事はまずない。
私達は定時で上がれるけれど、”社長が帰られる“そんな言葉を聞きお見送りの挨拶をした事はない。
”社長が外出する“ばかりで。
「定時になったな」
「そうですね」
「監視役終わっていい。おつかれ」
「分かりました。お先に失礼します。お疲れ様です」
言われるがまま社長室を出る。