マドンナは社長秘書室勤務


社長室を出てふと考えが頭に浮かび向かった先は給湯室。

棚から田神社長専用のものを取り出す。

ポットもヤカンも急須もお茶の葉も珈琲豆も、ここには田神社長専用のものがある。

秘書室の皆のデスクを見て気付いた。

田神社長のデスクには飲み物が無かったことに。

監視役としてずっと見ていたのに。


「日和ちゃん、どうしたの?」

「田神社長に飲み物と思って」

「ちゃんと話せた?」

「話せたか分かりません。でも私の顔色を見て体調が悪いと心配してくれて、監視役をしてました」


心配してきてくれた阿室さんは私の横に立ちフフっと笑った。


「着いていかなくて正解だったかもね。お邪魔虫になるところだったもの」

「でも監視役としてちゃんと出来たかどうか」

「監視役なんて建前だから大丈夫よ。社長も上手いことやるわね。理由をつけて日和ちゃんを側にいさすなんて」


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