マドンナは社長秘書室勤務
「ねえ、パパ。あたしにも挨拶させてくださらない?こんな機会滅多にないわ」
「ハハッ、娘がそう言っていますので少しだけいいでしょうか?」
振り袖姿の娘さんが一歩前に出て田神社長ににっこりと微笑む。
「お久し振りです、慶悟さん。あたしを覚えてらっしゃいますか?慶悟さんがフロリダの大学で経営学について学生に講演をされていた時に」
この娘さんは田神社長が好きなんだ。
断っても断ってもお見合い話を持ってくるほどに。
そしてその娘さんが今回同行する情報を田神室長はゲットしたのだろう。
だから、そんな提案を私にした。
「慶悟さんの講演はとても引き込まれるものがありフロリダの大学に頼み込んでいれてもらった甲斐がありました。それからあたしは経営学に惚れ、性別上難しいと理解した上でパパの会社を継ごうって決めました」
「そうですか」
「大変ですけどその度に思うんです」