マドンナは社長秘書室勤務
「榛原さんって俺の事好きなの?」
「……っ、あの」
もう言ってしまおうか。
好きです――、と。
「んなわけないか。ごめん。同じ委員をして話しやすいから話してるだけだよな」
そうじゃないの、さえ言わせてもらえなかった。
意識してるなんて言える雰囲気でもなかった。
「俺の友達が榛原さんと話したいらしいんだ。だから」
その人もまた夕日に照らされて顔が見えない。
「友達になってください!」
ぐいっと近付いてきて無理矢理握られる手。
ぞわぞわと鳥肌をたつ私にカレも友人も気付いていなく、この場から逃げ出したくて反射的に頷く私。
その頷きに失敗したと実感したのはそれからすぐの事。
どう話が伝わったのか分からなかったけれど私を囲うように大勢の男の子達がいて、どうでもいい話をひたすらする。
私は相槌すらしなかったけれど、それがいけなかったのだろう。