マドンナは社長秘書室勤務


「でも今日このパーティーにパパに連れてきてもらって漸く分かったの」


だから、だから、田神室長は。


「あたしじゃ勝てっこないです。マドンナには」


私をあえて田神社長の隣で目立たせた。

こうなる事を予想して。


「マドンナだなんて嘘だって思ってたけど。パパの言う通り本当にマドンナが存在してあたしビックリしちゃったわ。パパの言う通りじゃなかったら勝てるって思ってたのに」


“マドンナ”

それは私の通称。


「こんな綺麗な人見るのは初めて。お人形さんって本当に実在したのね。ねえ、パパ?あたし良い事思い付いたの。慶悟さんより今はこのお人形さんが欲しいわ」

「ハハハッ、それは良い提案だ。どうだね、田神社長」

「貴方を諦めるからあたしに頂戴?もうパパに頼んだりしないから、だから…」


娘さんのその先の言葉を遮るよう田神社長は口を開く。


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