マドンナは社長秘書室勤務
「資格も立場も関係なく、俺は榛原の本音が聞きたい。社員としてではなく俺が唯一好意を寄せている榛原日和に聞いているんだ」
射ぬように私を見つめてくる田神社長。
私もそれならばと返す。
「ご婚約する方に好意を寄せてはいないのですか?」
「俺は器用ではない。好意を寄せてるのは榛原だけだ。唯一と言っただろう?」
「それなら…。どうしてご婚約を?もしかして政略結婚というものですか」
「違う」
だったらどうして…?
そんな思いが力を入れたのだろうか。
少し前のめりになる私の身体。
「榛原はこの会社が政略結婚しなければいけないほど陥っていると言いたいのか?」
「いえ」
「なら分かるだろう」
「分かりません」
おずおずと戸惑いながら田神社長は私の頬に触れた。
ビクッと身体がビクつかせた私よりも田神社長の手が震えてる事を直に感じた。