マドンナは社長秘書室勤務


「デマで良かったです」


そのせいで本音が口から出てくるし、


「嬉しいか?」

「嬉しいです。聞かないで下さいよ、田神社長の馬鹿」


田神社長相手に馬鹿なんて言ってしまう。

新人部下に馬鹿と言われた田神社長は少し固まってから、今まで見たことのないような笑顔を見せてくれたのだ。


「榛原も俺と同じ気持ちなんだな」

「同じですか?」

「ああ。榛原は俺に好意を寄せている。違うか?」

「田神社長の事尊敬してます。でもそれが好意かと言われれば違うような気がします」


もういい。

考えてる事、思ってる事、抱いてる事。

田神社長に隠すのはもういい。


「確かに田神社長の報道を聞いて私は悲しかったです。私に好意を寄せてるとか言いながら他に相手がいたんだなあとか、田神社長がニューヨーク支社に行ってしまうともう今までのように話せないとか」


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