決断は一瞬、後悔は一生

「美雨、きいてよぉー」



沙耶が私の前の席に座って椅子を私の席に向けて聞いてきた。



「ん?ってそこの席、沙耶の席じゃないでしょ?」


「そうだよ?でも美雨と話すために必要な席だよ?」


「そんなこと言っても、神木くん来たら怒られるよ?」


「大丈夫大丈夫。まだ来な」「「俺、来てるんですけど?」」


沙耶の言葉を遮ったのは、神木くんだった。

神木くんは、女嫌い。

なのに女の子にモテる。

女嫌いな神木くんだから告白されてもOKしないらしいけど・・・。


「俺の席、勝手に座んなよ」


神木くんが冷たい言葉で沙耶に言い放った。


「いいじゃん、来てなかったんだからぁ」


「今、俺来てるんですが?」


「だって美雨と話したかったんだもん」


「音宮のせいにすんなよ、お前が座ったんだからお前のせいだろ?」


「もうー本当、美雨には優しいよね。神木君って」


「何もしない子には優しくするけど」


「そ〜ゆうとこがあるから神木くんはモテるんでしょ?」

確かに同感。

わたしも頷いた。

神木くんは沙耶を睨みつけた。


「俺、モテたくてモテてねーから」


「嫌味にしか聞こえないよ」

沙耶がそう言いながら神木くんの席を立った。

神木くんは沙耶の肩をポンと叩いて言った。


「俺、女嫌いだから。お前みたいな奴がいるせいで」


沙耶は神木くんを睨み返して自分の席に戻っていった。
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