決断は一瞬、後悔は一生


結城くんのこと、諦めようとしたけれど、できなかった。



好きってどうしてこう際限がないんだろう。


苦しくて悲しくて辛くて。



でも嬉しくて楽しくて幸せ。



こんな矛盾の気持ちを何処に持ってけばいいのだろう。


そんなことを考えながら、結城くんを見つめていた。


結城くんは視線に気付いたのか周りをキョロキョロ見渡して私に気づいた。


目があった!


というのも、ほんの瞬きくらいの一瞬で。


こんなの脈ないってわかってるけど、止められない―。


私は、ノートを取ろうと前を向いた。


その瞬間、前に座っている神木くんと目があった。


神木くんが振り向いていたから顔の距離が短くてすごく緊張した。

「どうした?」


「えっ?」


「お前、今、悲しそうな顔してた」


神木くんにそう言われ私は必死に笑顔を作った。


「そ、そう?授業つまんないからかな?」


「あっそ」

一言残して、神木くんは前を向いた。



はいー?!


「あっそ」って何?!


さっきまで「どうした?」って、優しかったのに!


本当に神木くんは何考えてるかわからない。





私はこの時知らなかった。


このやりとりを結城くんがなにか思ってるように見てたなんて。

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