決断は一瞬、後悔は一生
美雨が教室を出て行ってからも、みんなは、辞めずにからかってくる。
「もうやめてよー。恥ずかしいじゃん。ねぇ結城くん?」
そう言って、沢良宜は俺の腕に自分の両腕を絡ませてきた。
「ほんと、やめろよ」
そう言った瞬間、教室が静まり返った。
俺、変なこと言ったか?
俺は沢良宜の腕を話して美雨の後を追いかけていった。
確か、こっちの方に走ってったと思ったんだけどな。
そう思いながら、階段を降りようとしたとき―。
「うぅ・・・っ。」
奥の部屋から泣き声が聞こえた。
足音を立てないで、その部屋を覗き込むとそこにいたのは、美雨と叶芽だった。
泣いてうずくまっている美雨の背中をさすってあげている叶芽。
二人は俺に気づく様子もなかった。
俺は、ドアの後ろに隠れて二人の様子を見ていた。
「美雨?なんで泣いてるのか言ってくれないとわかんないよ?」
叶芽が美雨の顔を覗き込んで言う。
「うっ・・・さ、さやぁ・・・」
美雨は叶芽に抱きついて泣きつづけた。
俺はその様子を黙って見ていることしかできなかった。